プッシュアップをする7つのメリット
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胸筋を鍛える以上のメリットがあります。
腕立て伏せは非常に効率的かつ効果的なエクササイズで、筋力ワークアウト、ブートキャンプ、高負荷サーキットトレーニングのメニューとしてもおなじみだ。そしてそれには理由がある。
The Edge Fitness ClubsでNASM-CPT(全米スポーツ医学アカデミー認定パーソナルトレーナー)および栄養資格を持つトレーナーとして活躍するエイン・トーマスによると、腕立て伏せには体のさまざまな部位を鍛える効果がある。 「胸、肩、上腕三頭筋、コア、さらに大臀筋を鍛えるので、筋力と安定性を効率的に強化できます」
ただし、腕立て伏せは素晴らしいエクササイズですが、毎日行うのは避けた方がよいでしょう、とトーマスは説明する。 「適切にリカバリーをしないと、毎日の腕立て伏せがオーバーユースによるけがにつながる可能性があります」 「むしろ、週に3、4回を目標にしてください。そうすれば、筋肉が回復して成長する時間が取れるでしょう」
NASM-CPTとUSATF認定のランコーチで、Body Fit Trainingのトレーニングおよびエクスペリエンス担当ディレクターであるスティーブ・ストーンハウスも同意見だ。「腕立て伏せを毎日行うことはおすすめしません。腕立て伏せに何か問題があるからではなく、ただ、特定の刺激から体が回復するには多少の時間を要するからです」
腕立て伏せのさまざまなメリットを説明する前に、まず正しいフォームをしっかり把握することが重要だ。
腕立て伏せのやり方
正しい腕立て伏せのフォームで重要なのは、姿勢と体のコントロールだとトーマスは話す。 フォームをマスターし、エクササイズの効果を最大限に高めるために、トーマスとストーンハウスがすすめる方法を紹介しよう。
「両手を肩幅より少し広めに開いて、指先を前方に向けます」とトーマス。 「コアを意識して、頭からかかとまでを一直線に保ちましょう。腰が下がったり、ボトムスが上がったりしないようにしてください」 腰が床の方へ下がってきたら、体幹の筋肉強化の効果が期待できるサインかもしれません、とストーンハウスは言う。
動きについては、トーマスが次のように解説。「胸が床にぎりぎり触れない程度まで体を下ろします。 肘の位置は、体から45度くらいの角度になるように。 肘を軽く曲げたまま、動きをコントロールしながら背中を押し上げます」
このエクササイズの最大の魅力は? それは調整が可能なこと。 一般的な腕立て伏せをできる自信がまだない場合は、膝をついて行う方法もありだとストーンハウスは言う。 ベンチなどの高さのある面を押すようにして腕立て伏せを行うのもいいでしょう、とトーマス。 主な目標は、フォームを維持することであり、残りの部分はその後についてくる。 「常に品質が量に勝ります」と彼女は付け加える。
反対に、上級者であれば、腕立て伏せの難易度を上げる方法はいくらでもある。 たとえば、ダイヤモンドプッシュアップは、胸筋よりも上腕三頭筋に重点を置いているため、より難しいとされる。
プッシュアップをする7つのメリット
ワークアウトのルーティンに腕立て伏せを取り入れることのメリットを、2人のエキスパートが解説する。
1. 上半身の筋力を強化
腕立て伏せによって、上半身全体の筋肉が鍛えられ、筋力が向上する。 腕立て伏せは胸、肩、上腕三頭筋を鍛えるだけでなく、上腕二頭筋や上背部など、安定性を高める筋肉も鍛える。 「つまり腕力と姿勢が向上します。また、持ち上げる、押す、引くといった日常的な動作に必要なパワーが増すのです」
2. 体幹の安定性と強さの向上
「腕立て伏せを胸と腕のエクササイズだと思っている人が多いと思います。それはたしかにその通りですが、どれも体幹を鍛えて強化しなければ実現できません」とストーンハウスは言う。
腕立て伏せは腹部の筋肉を鍛えるだけでなく、その周辺の健康にも良い効果をもたらす。 「腕立て伏せの間、体幹が体をまっすぐに保つ働きをします」とトーマス。 「これのおかげで、時が経つにつれ、ジムでも日常生活でもバランスが良くなり、腰痛が軽減され、他の動きでも全体的な安定性が増すようになります」
3. 循環器系の健康の向上させる働きも
腕立て伏せの回数を増やしたりサーキットの一環として行ったりすると、心拍数が上がり、気づかない間に持久力を鍛えることもできるんです」とトーマスは言う。 「筋力トレーニングと有酸素運動の効果という2つのメリットがあるため、腕立て伏せは心臓の健康状態を良くする時短エクササイズにもなります」2019年に実施された具体的な研究がある。ハーバード・T・H・ チャン公衆衛生大学院の調査によると、腕立て伏せの回数と心血管系疾患のリスクには関連性がある。 ただし、この研究は男性のみを対象としたもの。
とはいえ、腕立て伏せは誰の心臓の健康改善にも効果がある。 実際に、腕立て伏せなどの自重エクササイズを含むチェストプレスベースの筋力トレーニングには、心血管系疾患のある人の健康状態を改善する可能性のあることが研究で示唆されている。 一般的に、心血管系の疾患を抱えている人であればどのような身体活動も役立つが、チェストプレスをベースとした運動は心臓の周りの筋肉を直接狙うため、続けていれば徐々に強化される可能性がある。
4. 運動能力が改善される
腕立て伏せは、肩のリハビリの定番メニューだ。また、固有受容感覚(空間における体の動きに対する認識)の改善や、筋肉の同時収縮による動的な関節安定化を図るエクササイズにも、よく採用されている。 研究によれば、最適な運動能力を発揮するには関節の安定性向上が必要であり、特に体幹の関節の安定性が大きな役割を果たすことが明らかになっている。
5. 複数の筋肉を同時に強化
忙しくてなかなかジムに行けない人には、(ランジ、スクワットなどのコンパウンドエクササイズに加えて)腕立て伏せがおすすめだ。大きな筋肉を複数同時に鍛えるので、非常に効果的で効率もいい。
6. 骨の健康をサポートする可能性
ウェイトを使う運動や自重トレーニングを含むレジスタンストレーニングは、骨密度の維持、さらには増加に効果があるとストーンハウスは言う。 レジスタンストレーニングは、エストロゲンレベルが下がり骨量減少のリスクが高い閉経後の女性に特に有益であることが研究で示されている。
7. ファンクショナルフィットネスの向上
ファンクショナルフィットネスは、家事をしたり、箱を床から持ち上げたりといった日常的な動作やタスクを行うための体の準備をするうえで重要。 「腕立て伏せの動作は床から体を押し上げたり、転倒した際に身構えたりする動作と似ています」とトーマスは言う。 「この動作パターンをトレーニングすることで、突発的な出来事への準備が整い、けがの予防にも役立つのです」
腕立て伏せのバリエーションで筋力トレーニングに変化をプラス
毎日同じ腕立て伏せを続けていたら飽きてしまう。 プログラムにバリエーションをつけながら、トレーニングを続けよう。
初心者向けのバリエーション
完全な腕立て伏せがまだできない人は、次のバリエーションのいずれかを取り入れて、本来の腕立て伏せに必要な筋力をつけよう。
ウォールプッシュアップ:通常の腕立て伏せ(プッシュアップ)の垂直版。 まず、壁に手が届く位置に立ち、 腕を胸の高さに上げて肩幅より少し広げ、手を壁につける。 体幹を意識しながら肘を曲げて上体を壁に近づけた後、 肘を伸ばして最初の位置に戻る。 簡単すぎるようなら、足を少し後ろにずらしてもう一度行う。 さらに、カウンター程度の高さの台でやると難易度を少し上げられる。
ニープッシュアップ:水平方向に行う腕立て伏せの一種だが、膝から下の体重はかからないので抵抗は小さくなる。 マットの上に膝をつき、腕を肩幅より少し広げ、手を前方につける。 頭頂から膝まで一直線になるように体をまっすぐに保ったまま、胸を床に近づけて、その後押し戻す。
中級者向けのバリエーション
通常の腕立て伏せが正しいフォームでできるようになったら、中級者向けのバリエーションに挑戦してみよう。
通常の腕立て伏せ:最小限の器具さえあれば、平らな床の上で取り組める。 まずはプランクのポジションからスタート。腕は肩幅より少し広げて手を床にぺったりつける。 足は平行にして、腰幅程度に広げる。 背筋を伸ばし、体幹を意識しながら、大臀筋を引き締める。肘を曲げて、胸、腰、頭を床に近づける。 床を押して元の位置まで体を持ち上げる。
デクラインプッシュアップ:抵抗を増やして肩と胸を強化する。 デクラインプッシュアップは、腰の高さより高い面に足を置いて行う。 たとえば、トレーニングベンチに足を置いて床に手をつくやり方も一般的だ。 所定の回数を終えるまで、足の高いポジションを維持しながら、上体をぐらつかせないようにする。
BOSUプッシュアップ:BOSUのバランスボール(またはぐらつくボードなど)のような不安定な面を使用する。正しいポジション、つまり肩より少し広い幅で手をつくことができるように、器具は十分な幅があるものを選ぼう。 体を上げ下げするときに不安定な面の上で手が動かないように注意する。 不安定な状態によって難易度が上がり、体幹と肩への負荷が高まる。
上級者向けのバリエーション
ウェイトや負荷を追加すると上級者向けの腕立て伏せになる。
プライオプッシュアップ:腕立て伏せの途中で、勢いよく床から手を離して手をたたく。 通常の腕立て伏せのポジションからスタートし、胸を下げて床に近づけ、 一番下まで来たら、思いきり床を押して床から手を離す。 1回手をたたいたら、 手を床に戻して体を受け止め、再び体を下げる。
ダンベルプッシュアップ・トゥ・ロウ:ダンベルを2つ用意する。通常の腕立て伏せのポジションからスタート。ただし、水平方向に置いたそれぞれのダンベルの上に手を乗せておく。腕立て伏せを1回やったら、右手でダンベルロウを行う。 腕立て伏せをもう1回やって、左手でダンベルロウを行う。 背中の筋肉(広背筋)に働きかけ、より多くの筋肉を鍛えられるバリエーションだ。