毎日縄跳びをするメリット
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縄跳びは、心臓の健康増進から不安感の抑制まで、さまざまな効果が期待できる楽しい有酸素運動だ。
縄跳びは、子どもだけのものではない。 さまざまな効果がある縄跳びは、ウォームアップに用いられることが多く、トレーニングの主役になることもある。
ISSA(国際スポーツ科学連盟)の認定パーソナルトレーナーのマイク・マシューズ氏(『Muscle for Life: Get Lean, Strong, and Healthy at Any Age!』の著者)よれば、縄跳びは、ほぼすべてのトレーニングルーティンに、シームレスに組み込めるという。
「ゆっくりとした一定のペースで縄跳びをすれば、負荷の低い安定した有酸素運動になります。HIITトレーニングのようなスタイルで負荷を高めたければ、膝を高く上げるか、二重跳びをするといったテクニックを用いればいいでしょう。 また、時間の余裕がなくて効果的な全身運動をしたい方には、まさに理想的なエクササイズです」とマシューズは語る。
ロープを跳ぶ反復運動を行えば、心拍数が高まり、両腕と両脚の筋肉が活動し、カロリーを消費できるうえに、湧き上がるような楽しさが感じられることもある。 縄跳びを楽しいと感じられれば、長続きする可能性も高まるだろう。 2020年に『Frontiers in Psychology』誌に発表された研究では、人は何らかの身体活動を楽しく刺激的だと思えば、頻繁に取り組む意欲が湧くことが判明している。
また、縄跳びは年齢を問わず安全に行える運動だ。 2018年に『Sports Medicine』で発表された、9つの研究を統合したメタアナリシスによれば、縄跳びを用いたトレーニングセッションを最大週3回行うことで(1度のセッションでは1セット10回の縄跳びを合計3セット、セット後に60秒の休憩を取りながら行う)、50歳以上の成人の筋力を高められるという。 ただし、被験者には、運動の妨げとなり得る症状がなかったことに留意が必要だ。 縄跳びで思うような運動効果を得られるかどうかについては、あらかじめ医師の判断を仰ぐようにしよう。
縄跳びを始める前に参考にしたいヒント
縄跳びから長く遠ざかっているのなら、まずは身長に合った長さのものを用意しよう。
「両足でロープの中央に乗り、柄を持ったら、腕をまっすぐにして両手を胸の高さまで上げましょう。 氏ロープの両端(ロープと柄の継ぎ目)が脇下の高さに来れば、長さは合っています」とマシューズ氏は言う。
その次は、縄跳びに適した硬い路面選びだ。
「コンクリートやアスファルトなどの硬い路面でもいいのですが、そうした場所では、トレーニングが長引いたり、足首や膝、股、腰に問題を抱えていたりすると、関節を痛めてしまうおそれがあります。 できれば、ジムや公園、テニスコートなどにあるような、高密度ラバーや硬木の路面でトレーニングするといいですね」と、マシューズ氏は説明する。
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正しい縄跳びのフォームの身につけ方を、ステファニー・マンスール氏に尋ねてみた。彼女はAFAA(米国エアロビクス・フィットネス連盟)の認定パーソナルトレーナー、ASFA(米国スポーツ・フィットネス連盟)の認定ピラティスインストラクターとして、PBSのテレビ番組『Step It Up with Steph』でMCを務めている。マンスール氏は、背筋を伸ばしながら、へそを背骨側に引き寄せrるようにして、体幹をはたらかせることを勧めている。
「柄はしっかり持ちますが、固く握りすぎないように」と彼女は言う。 「片足跳びでも両足跳びでも、着地時は膝を柔らかく。脚が伸びてはいけません。」
それよりも、ジャンプのたびに着地時の衝撃が脚から膝関節へ伝わらないように、膝を曲げておけばよいとのことだ。 また、マシューズ氏によれば、誤って高く飛びすぎる人も多いという。
「指の付け根の膨らみから着地しながら、毎回3cmくらい飛ぶだけでいいんです。 こうすれば運動効率が高まって、関節を守ることにもつながります。縄跳びを長く続けられますよ。」
ジャンプの高さを抑えれば、着地時の衝撃も緩和できる。 また、はじめのうちは体にやさしく、無理をしないことが大切だとマンスール氏は強調する。
「最初は60秒か、60回だけに留めておきましょう。 それから、久しぶりに縄跳びをするのなら、ロープが脚に掛かって思うようにいかなくても大丈夫」と彼女は言う。それでも、すぐにまた要領をつかめるようになるそうだ。
縄跳びが健康にもたらす5つのメリット
1.縄跳びをすれば心臓の健康増進が期待できる
マシューズ氏によれば、縄跳びは心血管を健康にして、血圧を下げる効果が高いということが、複数の研究で示されているという。
若い男性を対象に理学療法の研究者が実施した2019年の実験的研究では、1日2回の縄跳びを12週間にわたって行ったグループと、ふだん通りの運動を行ったグループを比較している。 そのなかで、縄跳びを行ったグループでは、VO2 max(最大酸素摂取量:運動中に身体が使用できる酸素量の指標)が統計的に有意に上昇していた。
他にも、『European Journal of Applied Physiology』で2019年に発表された12週間の研究では、10代女性が、事前に水分補給を行った上で縄跳びをすると、体組成、炎症、血圧、血管機能(血液とリンパ液が全身を循環する仕組み)といった、心血管疾患にまつわるさまざまな危険因子にプラスの影響が及んでいたことが明らかになった。
2.縄跳びは運動協調性力の向上に役立つ
イタリアの科学研究者たちは、前思春期のサッカー選手たちを集め、その一部に8週間にわたりトレーニング前に縄跳びを行わせた。 彼らが2015年に『Journal of Sports Science & Medicine』で発表した論文によれば、縄跳びをした選手は、縄跳びをしなかったチームメイトと比べて、優れた運動協調性とバランス感覚を示したという。
「縄跳びをするとバランス感覚と下半身の安定性が向上します。 動作を重ねるたびに、足首と膝の関節が鍛えられていくのです」とマンスール氏は言う。
こうした結果が得られたのは、縄跳びでは、両足で小さく素早いジャンプを繰り返しながら、手と目の機能をよく連動させなければならないといった理由が主に挙げられる。 「それに、ジャンプを繰り返すために全身を使うことで、膝と腰が足首の関節と連動することも一因でしょう」と彼女は補足する。
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3.縄跳びにより、骨密度を維持し、向上させられる
「縄跳びをすると骨密度(骨塩量)が上昇することが分かっています。これは、更年期への移行が進む、周閉経期の方々にとって特に重要です」とマシューズ氏は言う。
2021年のある研究では、トレーニングルーティンに新しい運動を取り入れて、縄跳びと全身振動(座るか、立つか、横になった状態で、振動する機械に乗るトレーニング)を週に2度行った五輪女子水泳選手の状態を観察した。 22週間後、腰椎、腰、首の骨密度が上昇するとともに、下半身の体容積が減少していることが明らかになった。
また、2015年に『American Journal of Health Promotion 』で発表されたランダム化比較試験では、25歳から50歳の女性が10回と20回の縄跳びを(30秒の休憩を都度挟みながら1日2回)行うと、8週間後に腰部の骨密度が有意に上昇していたことが明らかになった。
4.縄跳びで走行速度が向上する
ランナーには耳寄りな情報だ。 2021年に発表された、21の研究を統合したメタアナリシスでは、縄跳びのトレーニングと、2kmから5kmのランニングにおけるタイムアップの相関性が示されている。 そこでは500名以上の成人が、ジャンプ力、スプリント力、反応筋力(着地後に行うジャンプの跳躍高指標)、ランニング効率(心肺機能や代謝率などの要素の複合指標)を有意に向上させていた。
また、2020年に『International Journal of Sports Physiology and Performance』で発表された論文でも、同様の結果が示されている。 「ウォームアップで10-~20分の縄跳びを行ったグループは、縄跳びをしなかったグループと比較すると、3000メートル走のタイムが有意に向上していました」とマシューズ氏は言う。 もう少し具体的に言えば、これらの被験者は、縄跳びを使ったウォームアップを10週間にわたり週に2回から4回、合計で週に10分~20分実行していた。
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5.縄跳びには不安感を抑制する効果も
縄跳びの精神衛生上の効果を確かめるために行われた、2021年の研究では、志願者を複数の集団に分割し、そのひとつに縄跳びをさせている。縄跳びは1回2分の実践と1分間の休憩をセットにして、7セッションにわたって実行した。この上で被験者に心理学的アンケートや、パフォーマンス試験、唾液検査、尿検査を実施したところ、縄跳びを行った成人の間では、不安スコアが有意に減少し、注意持続時間と認知機能の水準が向上していた。 被験者は尿中の5-ヒドロキシインドール酢酸の値も向上しており、セロトニン(気分の調節と不安感の抑制にかかわる神経伝達物質)分泌量の増加を示す結果となった。
縄跳びなどの運動で筋肉が収縮するときには、体内を循環している特定のアミノ酸(分岐鎖アミノ酸)が、筋肉を動かすために必要になる、と語るのはエリザベス・ロンバルド博士だ。彼女は認定臨床心理士として『Get Out of the Red Zone: Transform Your Stress and Optimize True Success』という著作を記している。
「これらのアミノ酸はふだん、血液脳関門を越えて脳へ入るために、セロトニンの前駆物質であるトリプトファンと競合関係にあります。 そのため、5-ヒドロキシインドール酢酸の(尿排出が増えて)血中量が減少すれば、トリプトファンが関門を通過する可能性が高まるため、脳内のセロトニン量が上昇すると考えられます」と彼女は言う。
結論 縄跳びは、幅広い人々にさまざまな健康効果をもたらし得ることが、研究によって示されている。 医師の承認が得られれば、次のワークアウトには数分間の縄跳びを組み込んでみてもいいだろう。何を目標にするかはあなた次第だ。 そして、専門家からのアドバイスを受けられる、Nike Training Clubアプリのダウンロードもお忘れなく!
文:エイミー・カペッタ