ダンスのメリットとは?
スポーツ&アクティビティ
リビングでもスタジオでも、ダンスにはエキスパートがおすすめする健康上のメリットがたくさん。
ダンスは誰でも楽しめる。 体を使った感情表現であり、体と心の両方の健康に良い。 従来のダンスクラスでは、多くの場合、振り付けをまねたりステップを覚えたりするが、さまざまなスタイルの運動を扱う一般向けのフィットネスクラスでは、より幅広い人々にその技術を伝えている。 インストラクターやパートナーは必要ない。 ダンスは(ほぼ)どこでもできるのだ。
Dance for All Bodiesのエグゼクティブディレクターであるミア・モリスは、次のように述べている。「ダンスは誰でもできるという認識が重要です。どんな踊りもダンスはダンス。 意識的な動きも、無意識的な動きも、すべてダンスとして捉えることができますし、そのように捉えるべきです。 自分の動きをダンスとして捉えているかどうかで、すべてが決まります」
以下では、エキスパートが、科学に基づいたダンスのメリットを紹介する。
ダンスのメリットとは?
1.ダンスは良い有酸素運動だ。
アメリカスポーツ医学会によると、ダンスは「大きな筋肉群を使って持続的に行う、リズミカルな性質のある」アクティビティであるため、有酸素運動であると考えられる。調査では、心臓血管の健康と身体活動にはつながりがあることが示されており、ダンスは身体活動を増やすためにうってつけだ。
アイリッシュセットダンスやスコティッシュカントリーダンスなどのダンスは優れた有酸素運動だと言われているが、メリットを得るためにエネルギー消費量の多いタイプのダンスを行う必要はない。
「特に初心者の場合、活動レベルを高めるには、ゆっくりとダンスするのが効果的です」そう語るのは、理学療法士、 D.P.T.、 整形外科臨床専門医であり、Back in Step Physical Therapyのオーナーであるアリッサ・アームズだ。「速く動くことは、心臓の健康全般にとても良いです。ただし、自分の体と健康状態に適した心拍ゾーンで運動するようにしましょう」
ダンスは、心臓を鍛えるためだけでなく、さまざまな病気を抑えるためにも役立つ。 2016年の研究では、中程度の負荷のダンスによって心臓血管疾患のリスクを低減できることが分かった。2.ダンスには、筋持久力と筋力を高める効果がある。
カイロプラクティック医師と認定カイロプラクティック・スポーツ・プラクティショナーの資格を持つキャリー・スコニーによると、ダンスの種類によって負荷、スタイル、特徴的な筋肉運動パターンが異なる。 たとえば、クラシックバレエでは、ジャンプや跳躍移動をしながらゆっくりとした動きをコントロールする必要があり、これによって体幹、腕、脚の筋持久力が高まる。
「このタイプの運動は、クラシックバレエで重視されることの多い、すらりと伸びた体のラインや引き締まった筋肉を養うために効果的です」とスコニーは述べている。
2019年に行われた解剖学の研究によると、バレエでは足を反転させたり回転させたりする5つの基本的なレッグポジションを体で覚えなければならないため、筋肉の適応が促される。 バレエでは全身の筋肉を使って姿勢を安定させる必要があり、筋肉の適応が起こって姿勢の安定につながると研究者は指摘している。 また、このように良い姿勢をつくることにより、座って仕事をしたり通勤したりすることで生じる影響を軽減することができる、とスコニーは言う。
別のタイプのダンスを試してみたいのなら、ヒップホップ、ジャズ、ボールルームなどのハイペースのダンスもあるが、スコニーによるとこれらのダンスでは爆発的な筋力が求められる。 『Journal of Sports and Physical Education』に掲載された2014年の研究では、ダンスでは筋肉を使って体重を支えなければならないため筋力が鍛えられると同時に、筋肉が長時間のハードな運動に適応するため持久力が高まることが示されている(特にボールルームダンスやラインダンスが持久力の強化に効果的だと述べられている)。
3.ダンスによって、筋協調性、バランス、敏しょう性が向上する。
ダンスのスタイルごとに独自の動き、姿勢、ステップがあり、それらが組み合わさってルーティンになっている。 そして、これらの要素を組み合わせるには、筋協調性、バランス、敏しょう性が必要なのだ。
「通常、ダンスではさまざまな方向へステップを踏んだり、わずか1、2秒でも片脚立ちをしたり、体の別々の部位を同時に動かしたりする必要があります」とアームズは言う。
2021年の研究では、ダンスによってパーキンソン病患者の運動機能が改善されることが分かった。 この研究では、数週間のダンストレーニングによって被験者のバランスが向上し、座っている状態から立ち上がる動作が改善し、歩行停止が減少した証拠が得られた。
「ダンスの特に有益な点は、全身を一つにしてさまざまな方向に動かす必要があり、体の各部位を協調、連動させた複雑な運動パターンが求められるところです」とスコニーは述べている。
4.また、ダンスによって骨密度も高まる。
ダンスのように体重を支える高負荷のエクササイズでは、骨組織に力がかかるため、骨組織の成長が促進されることが、研究で明らかになった。 スコニーによると、高速でジャンプステップをするアレグロバレエやタップダンスは下半身に大きな効果があり、腕で体を支えるブレイクダンスやモダンダンスなどのスタイルは上半身の骨密度を高めるのに効果的だ。
「力学的(物理的)ストレスが加わると、骨は強くなります」とスコニーは言う。 「そのため、ジャンプ、ランニング、ウェイトトレーニングなどの高負荷アクティビティは、骨を健康にするために極めて効果的です。 ほとんどのダンスでは体に体重の負荷がかかり、多くの場合ジャンプが含まれています。そのため、習慣的にダンスをすると、特に下半身の骨の健康に良い効果を得られます」
骨減少症(骨が失われて弱くなる疾患)を患っている閉経後女性に関する2019年の研究では、ダンスによって骨密度が向上することが明らかになった。 これによって、ダンスは骨密度を高めるための薬剤などによる治療を補う方法としてふさわしいことが示された。
5.さらに、ダンスをすれば気分が晴れる。
メンタルヘルスの問題に対処するには有資格の専門家と協力することが重要だが、ダンスには補助的な治療効果があることが研究で分かっている。 たとえば、『Frontiers in Psychology』に掲載された2019年の系統的レビューでは、成人のうつ病患者の治療計画にダンスセラピーを加えるのが効果的であることが判明した。 研究者は、言葉を使わずに感情を表現するダンスの非言語的要素について取り上げている。
「ダンスには解放感があります」とモリスは言う。 「世界の誰でも理解できる言語で本当の自分を表現できる、感情のはけ口なのです。 ダンスをすることで、得体のしれない気持ちを具現化したり、言葉にできないストーリーを伝えたりすることができます」
さらに、治療にダンスを用いることには一定のプラスの効果があることが2014年のメタ分析で分かっており、ダンスによってうつ症状や不安症状を軽減できるだけでなく、気分や個人の幸福感を高められることが研究で明らかになっている。
ダンスには数多くのスタイルがあるため、複数のジャンルを試すことで、さまざまなメリットを得られる。
「バレエ、ヒップホップ、スイングダンスなど、選択肢は山ほどあります」とアームズは言う。 「当然ですが、中には膝に大きな負荷のかかるものや、真剣に取り組むには優れた柔軟性が求められるダンスもあります。 誰でも自分に合ったダンスを見つけられるはずです」
文:アシュリー・ローレッタ