南瓜類をもっと食べるべき4つの理由

食事

みんなが大好きな野菜の健康効果を管理栄養士が解説。

最終更新日:2022年12月15日
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管理栄養士が教える、カボチャを食べるメリット

南瓜類は最も万能な野菜のグループと言えるかもしれない。 ドングリカボチャ、バターナッツカボチャ、デリカータカボチャ、ズッキーニ、パンプキン(オレンジ色のカボチャ)など、南瓜類にはさまざまな種類がある。ビタミン、ミネラル、複合糖質、食物繊維が豊富に含まれているのが特徴だ。 南瓜類を食べるメリットは多い。

皮膚の健康、血糖値のバランス、免疫システムのサポートにおけるメリットや慢性炎症の予防など、特筆すべき効果がいくつかある。 多くの場合、南瓜類の果肉は黄色やオレンジ色をしている。これはカロテノイドと呼ばれる色素によるものだ。 カロテノイドの中でも、特に研究が進んでいるのがβ-カロテン(ビタミンAの前駆体)。たくさんの健康効果について研究されてきた。

南瓜類にはβ-カロテン、ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれており、さまざまなメリットがあるのだ。 栄養たっぷりの南瓜類を日常的に食べることで、大きな効果が期待できる理由をご紹介しよう。

南瓜類がもたらす4つの効果

  1. 1.素肌を健康に保つ

    カロテノイドは最も強力な抗酸化物質の一つであることが研究で示されている。 例えば南瓜類に含まれるβ-カロテンは、フリーラジカルによる肌のダメージと戦うことで、肌の健康をサポートしてくれる。 フリーラジカルとは、細胞内に蓄積され、DNAやタンパク質などに損傷を与える有害分子の一種だ。 またβ-カロテンは、新しい肌細胞の成長と代謝回転もサポートしてくれる。 学術誌『Molecules(分子)』に掲載されたレビュー論文(2011年)では、主観的な指標ではあるものの、皮膚のカロテノイドレベルが高いと若く見えるとの記載がある。

    同じ論文では「皮膚の抗酸化物質濃度が高いほど老化が防げる」という説も論じられいている。 だが若々しい肌を手に入れようと大量の南瓜類を食べてしまう前に、注意してもらいたいこともある。それはカロテノイドが脂溶性であるということだ。 つまり体内に吸収されるためには、油脂と一緒に摂る必要がある。

    例えば蒸した南瓜類をそのまま食べるのではなく、オリーブオイルなどのヘルシーな油脂をかけることで肌に良い成分が吸収されやすくなる。

  2. 2.血糖値の調節を助ける

    バターナッツカボチャ、ニホンカボチャ、デリカータカボチャ、ドングリカボチャなどの冬南瓜類は、いずれもでんぷんを多く含むヘルシーな野菜だ。 例えばバターナッツカボチャ1カップには、重量でブロッコリー1カップの約2倍の炭水化物が含まれている。 南瓜類は炭水化物が多いが、食物繊維も豊富だ。血糖値の調節をサポートする複合糖質も含まれている。

    南瓜類に含まれる食物繊維は、血糖値の急激な上昇と下降を防ぎ、気分やエネルギーの落ち込みも抑えてくれる。 炭水化物の健康的な摂取について考えるとき、南瓜類は血糖値を管理したい人に最適な食品だ。 調理した冬南瓜類は、定期的に運動をしている人(毎週150分以上の適度な運動)にとって、長時間のワークアウトやトレーニングセッションの前に摂取できる優れた炭水化物源でもある。

  3. 3.健康な免疫システムをサポートする

    南瓜類の効果は、肌の健康や血糖値だけにとどまらない。 南瓜類に含まれるビタミンやミネラルは、健康な免疫システムもサポートしてくれる。

    ビタミンCとマグネシウムは、免疫システムにとって重要な栄養素だ。南瓜類にはその両方が含まれている。 バターナッツカボチャ1カップに含まれるビタミンCは、成人男女の推奨栄養所要量(RDA)(女性は75mg、男性は90mg)の約25%だ。

    そしてマグネシウムは、免疫システムで多くのサポート役を担うミネラルだ。 マグネシウムの欠乏は、慢性的な軽度の炎症と関係があると言われている。 マグネシウムはそれほど豊富に含まれていないが(バターナッツカボチャ1カップに成人男女のRDAのわずか10%強)、カボチャの種1オンスで成人男女のRDAのおよそ20~25%を摂取することができる。

  4. 4.炎症に効く

    学術誌『Biomedicines(生物製剤)』に2021年に掲載されたレビュー論文では、健康的な老化に対する食事の抗炎症作用について検討されている。 だがその前に、まずは炎症が体に必要な機能であることを知っておこう。 炎症が発生するのは、アレルゲンや毒素にさらされたとき、怪我をしたとき、感染症にかかったときなど。治癒のプロセスを開始させるのに、炎症は役立つのだ。 しかし炎症が長期間にわたって起こると(慢性化)、心血管疾患、自己免疫疾患、神経疾患、がんなどの病気の発生を促進する可能性がある。

    慢性炎症を予防しながら悪化を防ぐ主要な方法の一つは、果物、野菜、未精製の穀物、不飽和脂肪、低脂肪のタンパク質を豊富に含む食事をとることだ。単純な方法のように聞こえるが、どんなダイエットブームにも勝るアプローチであるという研究の裏付けがある。

    (関連記事:栄養士がすすめる、ワークアウト後に最適な高タンパクの軽食

    南瓜類の栄養素には、慢性炎症への抵抗力があることも大きな利点だ。 夕食でパスタやパンなどの精製された白い炭水化物を食べる代わりに、焼いたドングリカボチャを食べてみる。また朝食の甘いシリアルをやめて、自家製パンプキンチアプリンを食べてみることで上記のような効果が期待できる。 日々の食事の一部を南瓜類に替えていくことで、炎症に関連する慢性疾患を予防できるだろう。

南瓜類の楽しみ方は?

個人の嗜好、入手のしやすさ、キッチンでの使いやすさに左右される。 カボチャの缶詰(原材料がカボチャのみ)なら、簡単かつ手頃な価格で南瓜類を食事に取り入れられる。 オートミールやスムージーに加えたり、プレーンのギリシャヨーグルトに混ぜたりして、カボチャ風味の朝食を作ってみてもいいだろう。

バターナッツカボチャの皮を剥いたり、切ったりするのは手間がかかるが、下ごしらえしておくことで簡単にローストできる。塩コショウで味付けをしてそのままローストしたり、サラダの上にのせたり、スープに入れたり、いろいろな楽しみ方がある。 冷凍した南瓜類は、栄養価を損ねずに下ごしらえの手間を省ける。

プロのアドバイス:デリカータカボチャの詰め物焼きに挑戦してみよう。 デリカータカボチャを真ん中から切って種を取り除き、お好みの具(ひき肉、豆腐、ひよこ豆、レンズ豆など)を入れてローストする。 南瓜類に含まれる多くの栄養素(カロテノイドやビタミンA)を吸収するためには、オリーブオイル、ナッツ、種子、または全脂肪乳製品などの油脂と一緒に摂取したほうがいい。

文:シドニー・グリーン(理学修士、 管理栄養士)。

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公開日:2022年12月9日