ブルーライトカットメガネに期待できる3つの効果

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保護用メガネによって眼精疲労の防止を期待できる仕組みを医師が解説する。

最終更新日:2025年1月17日
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ブルーライトカットメガネの着用に期待できる3つの効果

現代社会において、画面を避けること、つまりブルーライトから逃れることは事実上不可能だ。 しかしながら、こうした種類の光に過度にさらされると、乾燥や一時的なかすみ、光に対する過敏症など、目に不快感が生じる可能性がある。 The Vision Councilは2022年の調査で、回答者の80%がデジタル眼精疲労の症状を報告しており、そうした中でブルーライトカットメガネは目の保護に役立つ可能性があることを明らかにした。

ブルーライトカットメガネは、特にブルーライトが目に入る量を減らすように設計されており、デジタル画面の使用に伴う眼精疲労の症状を予防できるかもしれない。

ブルーライトとは?

スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、テレビなどのデジタルデバイスは、蛍光灯やコンパクトな電球型蛍光灯、LEDライトと同様に、ブルーライトを放出する。 とはいえ、米国眼科学会(AAO)によれば、ブルーライトの最大の発生源は直射日光だ。

高エネルギーの可視光(HEV)としても知られるブルーライトが可視光スペクトルの一部だと述べるのは、ロサンゼルスのシダーズ・サイナイ医療センターで眼科医と眼科外科医を務める医学博士のブライアン・ボクサー・ヴァッハラー。 そして虹の七色を覚えるための「ROYGBIV」。これはレッド(R)、オレンジ(O)、イエロー(Y)、グリーン(G)、ブルー(B)、インディゴ(I)、バイオレット(V)の頭文字から成る。 ヴァッハラーは、これらの色はすべて可視光スペクトルにあり、つまり人間の目に見える電磁スペクトルの一部であると説明する。

可視光スペクトルが進むと、波長が分離してさまざまな大きさになるため、色に違いが生じる。 検眼医であり、オハイオ州立大学検眼学部の臨床学准教授であるタテヴィク・モフシシャンは、スペクトルのブルーライト部分は400~500ナノメートルの範囲の短波長と考えられると話す。

ブルーライトは目の健康に有害か?

厳密に言えば、答えは「ノー」だ。しかし、ブルーライトは目に対してある程度の影響を与えるし、健康全般に影響を及ぼす能性もある。

「動物を使った研究で、この(短)波長は目の後部にある網膜に有害であることがわかっています。 ただし、今日までに、ブルーライトが人間の網膜にこの種の損傷を与えるというエビデンスは示されていません」とモフシシャンは言う。

調査は今も続いているが、2022年の科学レビューでは、人工的なブルーライトが視力や目の健康に著しい影響を及ぼすことはないと判明している。 AAOはまた、最新のエビデンスでは、ブルーライトと人間の網膜の損傷や加齢に伴う黄斑変性症との間に関連性は認められていないと指摘している。

一方で、ブルーライトにさらされることで、何らかのメリットがある可能性も示されている。 2022年に発表された系統的レビューでは、ブルーライトにさらされたアスリートが、認知能力の向上、注意力の向上、反応時間の改善などのメリットを得たことがわかっている。

ブルーライトと睡眠障害

就寝前に画面を見すぎると、睡眠の質が損なわれる可能性がある。 「電子デバイスから放出されるブルーライトが目に害を及ぼすことはありませんが、ブルーライトは眠りを妨げることがあります。メラトニンの分泌を阻害するからです」とボクサー・ヴァッハラーは述べる。

メラトニンは脳が暗闇に反応して生成するホルモンで、眠気を促進する。 また、米国国立衛生研究所の定義によると、体内時計(サーカディアンリズム)の調整にも役立つ。 デジタルデバイスから放出されるブルーライトは、まだ日中だと体に錯覚させて体の自然なサーカディアンリズムを乱し、結果として眠りに落ちにくくなり、最終的に睡眠の質を低下させる可能性がある、と検眼医のジェニファー・ツァイは説明する (もちろん、夜勤で働く人の睡眠スケジュールは異なる)。

2019年の『Chronobiology International』誌に掲載されたレビューでは、光への暴露とサーカディアンリズムとの関係を調査し、夜に2時間ブルーライトにさらされればメラトニンの分泌は抑制されることを指摘している。 さらに、『Frontiers in Physiology』誌の2022年号に掲載されたスポーツ医学のレビューによると、ブルーライトは睡眠の質と時間の両方の妨げになる可能性がある。

ブルーライトカットメガネの着用に期待できる3つの効果

ブルーライトカットメガネの効果

日常的な作業のデジタル化が進むほど、画面の過度な使用に関連する症状も出やすくなる。 ブルーライトカットメガネは、眼精疲労の解消やスムーズな入眠に役立つかもしれない。その効果についてチェックしよう。

  1. 1.健康的な睡眠を促進する

    就寝前にできる最善策の1つは、電子機器の電源を切ることだ。 しかし、ブルーライトカットメガネを着用すれば、良質な睡眠を犠牲にすることなく眠る前にデバイスやPCを使用できる。 調査によって、ブルーライトカットメガネには睡眠改善の効果が期待できることが示されている、とボクサー・ヴァッハラーは言う。

    『Chronobiology International』誌の2021年号に掲載されたレビューでは、ブルーライトカットメガネの着用によって、睡眠障害や時差ぼけ、不規則な勤務スケジュールといった問題を抱えている人々の入眠潜時(眠りに入るまでの所要時間)が短縮されたことが示唆された。

  2. 2.光に対する過敏症を軽減する

    電子機器が発する人工的なブルーライトは頭痛、目の焦点調節障害、光過敏症を引き起こす可能性があるとツァイは説明する。

    「通常、サングラスは屋外で着用します。日光もブルーライトを放出するので、その影響を軽減するためです」と言う。 「しかし、屋内では人間の目は画面からのブルーライトにさらされたままで、光に対してより過敏になるのです」

    だが、ブルーライトカットメガネは、デジタルデバイスによる眼精疲労の改善には役立たないかもしれない。 『American Journal of Ophthalmology』誌の2021年号に掲載されたランダム化比較試験によると、ブルーライトカットメガネには、コンピューターを2時間使用した後の眼精疲労の症状の予防や改善の効果はないようだ。

    「眼精疲労と、ブルーライトが引き起こすコンピューター視覚症候群は混同されることもありますが、同じではありません」と、ボクサー・ヴァッハラーは言う。 「これらの症状の原因は、電子機器の使用時間が長すぎることです。近くのものに長時間焦点を合わせていると、まばたきの回数が普段よりも30%減少するからです」

    ブルーライトはデジタルデバイスによる眼精疲労の原因というわけではないが、ブルーライトカット機能は光過敏に伴う症状に効果があるかもしれない。

  3. 3.ドライアイの症状を緩解する

    ツァイの説明によると、画面を何時間も見ていると、まばたきの回数が減少することがあり、涙液膜の生成不足が原因で、ドライアイの症状(目の充血、ひりひり感、涙目など)が現れる可能性がある。

    「ブルーライトコーティング(が施されたメガネ)を着用すると、まぶしさや光に対する過敏反応を抑えられます。それによって、眼精疲労が緩和され、まばたき回数が改善されることもあります」と付け加える。

    2016年に発表された小規模な研究では、ドライアイを患う大人が、ブルーライトを50%カットするレンズを使ったメガネを着用した場合、視力の改善が認められている。 ここでの視力とは、米国検眼協会によると、視覚の鮮明さや明瞭さのことを指す。

ブルーライトカットメガネを購入する際のヒント

ブルーライトカットメガネに興味がある人に対してツァイが強くすすめるのは、ブルーライトの全範囲、つまり410~460ナノメートルをカットするメガネを探すことだ。 オレンジまたはアンバーがかった色のレンズを使ったメガネは、透明レンズを使ったメガネに比べて、ブルーライトの、すべてではないにしても多くをカットするように設計されている。

「メガネに施されているブルーライトコーティングは、紫外線コーティングを意味しているとは限りません」と彼女は言う。 「紫外線から目を保護するには、UVカット効果のあるレンズを購入する必要があります」

購入したメガネがブルーライトをカットできるかどうかがわからない場合は、検眼医に相談することをツァイはすすめている。「検眼医は通常、仕様試験ができる分光装置を装備しています」

ブルーライトカットメガネを着用すべき状況

ブルーライトカットメガネを使用する必要があるかどうかは、完全に本人の考え次第だ。 「患者さんにはこう説明しています。このタイプのメガネは画面を長時間見ることによる光過敏の症状に効果があるため、マイナス面はありません」とツァイは述べている。 「ブルーライトカットメガネを使用すると決めた場合は、コンピューターで作業をするときやスマートフォンをスクロールするとき、タブレットで読書をするときなど、デジタルデバイスの画面を見るときは常に着用するのが一番良いでしょう」

ボクサーによると、「設定」から「ディスプレイ」に移動し、夜間モードを選択すれば、すべての電子デバイスから放出されるブルーライトをオフにできる。 「こうすると、スマートフォンやコンピューターからブルーライトをカットできます。 画面がややオレンジがかって見えますが、ほとんどの人は慣れるはずです」

また彼は、頻繁に目を休めるように、と付け加える。 「私は20分対20秒というルールを推奨しています。これは、20分間画面を見たら、20秒間目を閉じるというルールです」さらに、別のバリエーションとして20秒対20フィート対20分というルールもある。このルールでは、20秒間画面から目を離して、20フィート(6メートル)離れた場所にあるものを見る、という行為を20分おきに行う。

「総合的に検査して、度付きメガネが必要か、それともブルーライトの一部をカットしてくれる反射防止コーティングが必要かを判断すると良いでしょう」とモフシシャンは言う。 迷ったら、ブルーライトカットメガネが自分にとって有用かどうか、眼科医に相談しよう。

文:エイミー・カペッタ

公開日:2025年1月8日

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