認定ヨガインストラクターが教える、エアリアルヨガの4大メリット

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血行が良くなり、チャレンジできるヨガポーズの幅が広がるワークアウトをご紹介。

最終更新日:2022年9月6日
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エアリアルヨガの4つのメリット

エアリアルヨガがSNSで話題になったのは最近かもしれない。しかし、その起源は古代にある。 このところ話題になっている理由は、心血管系の健康増進や体のバランス向上などのメリットがあるとよく言われているからだ。

「エアリアルヨガは特殊な布を使って行う全身運動です。この布をハンモックと呼んでいます」と説明するのは、RYT 200認定ヨガインストラクターのマリアム・マイケルだ。 ハンモックを使うと、逆転のポーズを始めとする伝統的なヨガポーズを空中で行うことができる。 また、ハンモックを使うことで、チャレンジしやすくなるポーズもある。ハンモックが体重を支えてくれるので、ヨガマットの上でポーズを行うときよりも深くストレッチができるようになるからだ。

さらに、エアリアルヨガにトライすることで、何代にもわたって受け継がれてきた古代のプラクティスに触れられる。 「一連のアーサナ(ヨガポーズ)を、支えられながら、そして吊られながらも行います」E-RYT 500認定ヨガインストラクターのミシェル・ドーティニャックはこう説明している。

彼女によると、最近は「フィットネス、ダンス、アクロバット、ピラティス」の要素を融合させたエアリアルヨガのクラスもあるという。 クラスでこれらの要素の1つに重点を置くか、すべてを組み合わせるかはスタジオやインストラクターの嗜好により異なる。

エアリアルヨガにトライする目的がヨガプラクティスのレベルアップでもバリエーションの拡大でも、このワークアウトの主なメリットをチェックしよう。

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エアリアルヨガの4大メリット

  1. 1.逆転のポーズができる

    エアリアルヨガの4つのメリット

    エアリアルヨガでは、体重の一部またはすべてをハンモックが支えてくれる。だから、頭が心臓よりも下に来る逆転のポーズの入門に最適だ。

    逆さまの状態になると、「血行が良くなり、体がスムーズに動き、楽しい気分になります」とドーティニャックは説明する。 実際に、『International Journal of Physiology』に掲載された2018年の研究によれば、ヨガの逆転のポーズは「脳の血行を効果的に」促進する。

    初心者でも、エアリアルヨガなら逆さまになれる。 ただし、認定アスレチックトレーナー(A.T.C.)のベン・シュー (スポーツ医学理学修士)は、「循環器系疾患、リンパ還流不全、めまいなどの症状がある人」にとって、こうしたポーズは危険を伴うと強調する。

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    また、ノースジョージア大学が2020年に発表した研究によれば、心肺疾患(高血圧や冠動脈疾患など)の患者が逆転のポーズを行うと、血圧や酸素消費量の変化といったさまざまな生理学的反応を期待できる。 この研究では、逆転のポーズの種類によっては心不全患者に有益かもしれないが、さらなる研究が必要だと結論づけている。

    逆転のポーズなどのエアリアルヨガでの運動に不安がある場合は、実践する前に、医師や有資格の適切な医療専門家に相談しよう。 エアリアルヨガのプラクティスでは、逆転のポーズは省略してもかまわない。ハンモックに支えられながら、スタンダードなポーズを行うことに集中するのもよいだろう。

  2. 2.心血管系の健康を増進する

    エアリアルヨガの4つのメリット

    米国運動協議会(ACE)が2016年に18~45歳の活発な女性を対象に実施した小規模な調査によれば、エアリアルヨガのプログラムを6週間行うと、心血管系にさまざまなメリットがある。たとえば、心血管代謝のリスク要因である血圧、HDLコレステロール、最大酸素摂取量などの改善が調査対象者の間で見られた。

    この調査では、エアリアルヨガはウォーターエアロビクスやテニスといった中程度の負荷のエクササイズと同様のメリットがあると結論づけている。 また、「エアリアルヨガを定期的に行うと、心肺機能が向上し、心血管系疾患の主なリスク要因がいくつか改善される」こともわかった。

    さらに、『Journal of Clinical and Diagnostic Research』に掲載された2014年の調査では、心不全患者に対するヨガの有効性が報告されている。 調査対象者は2つのグループに分けられ、一方はヨガマット上で伝統的なポーズと呼吸法を重点的に行い、もう一方はヨガに参加しなかった。

    ヨガプログラムを12週間行った結果、「心不全患者の血圧の低下、心臓の負担軽減、副交感神経活動の改善」が見られた。副交感神経系は、体をリラックスさせる作用を持つ。安静時心拍数や気管支収縮などの機能をコントロールし、呼吸速度を下げるのだ。

    この調査にエアリアルヨガは組み込まれていなかったが、プラス効果との関係が見られたヨガの基本的な部分はエアリアルヨガにも含まれている。ただし、結論づけるには、より具体的な研究が必要になる。

    心血管系または循環器系の疾患を抱えている場合は、医療専門家に相談して専門的なアドバイスを受けよう。

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  3. 3.体幹を強化する

    エアリアルヨガの4つのメリット

    エアリアルヨガは、体幹を鍛えるのに効果的だ。「ハンモックを操るために体幹と腕の筋力が必要になるからです」とドーティニャックは説明する。 よりアクロバティックな動きをすれば、体重が引き上げられ、ハンモックで体が安定する。

    彼女いわく「逆さまに吊られた状態では、背筋を伸ばさなければならないときに、床を蹴って弾みを利用することはできません」とのこと。 そうする代わりに、腹筋を使う必要がある。逆転のポーズの始めと終わりには基本的に背筋を伸ばす。

    さらに、ドーティニャックによれば、非常に複雑なポーズを行わなくても、空中で体を安定させることで体幹が鍛えられる可能性がある。 ポーズの間ずっとゆらゆらしているので、「ヨガの動きを行い、背筋をもっと安定させるために、体幹が働く」のだ。多くのインストラクターは、体幹の働きを常に意識するようにとアドバイスしてくれる。

    Journal of Bodywork and Movement Therapies』の2009年号に掲載された研究では、体幹スタビリティ(安定性)トレーニングの手段として、床で行うヨガのテクニックの評価を行った。この調査では、体幹を強化することで、胴体の力をコントロールし、手足をスムーズに効率よく協調的に動かせるようになる、と強調されている。 また、体幹の筋肉が整っていると、悪い姿勢による怪我のリスクを減らせるとも述べている。

    さらに、エアリアルヨガには、胴体の安定を維持しながら上半身を回転させるポーズもある。ローテーション体幹トレーニングの一種だ。 ローテーションは抵抗とも言える。 これはアンチローテーション体幹トレーニングにもなり、負荷に対して腹筋を支え、背筋を自然な状態にキープし、動かないように抵抗する。

    アンチローテーショントレーニングは、日常生活にメリットをもたらす。その理由として、「体幹は、たいていの場合、動きの開始よりも抑制のために機能する」と、『Strength and Conditioning Journal』に掲載された2020年の調査でスチュアート・マッギル博士は述べている。 ACEも、アンチローテーションエクササイズは「回転を含むさまざまな動きのパターンを支える安定した土台の構築」に役立つと強調する。

  4. 4.ポーズにもっと集中

    エアリアルヨガの4つのメリット

    エアリアルヨガには、柔軟性向上の効果も期待できる。 そして、ハンモックを使って伝統的なヨガのアーサナ(フォワードフォールドなど)を行うと、ポーズに深く没入できるように。「床の上で行うよりも運動量が少ないので、姿勢を長く保てるのです」とドーティニャックは説明する。

    完成したポーズを維持している間は、特定の筋肉群の静的ストレッチを行っていることになる。つまり、筋肉を動かすことなく伸ばしている状態だ。 静的ストレッチは、柔軟性を高めるのに効果的な方法と言える。『Physiotherapy Theory and Practice』に掲載された2016年のレビュー論文では、静的ストレッチには若年成人のハムストリングの柔軟性を向上させる効果が見られた。

    ハンモックでストレッチを行うと、従来のストレッチよりも楽に感じる人もいるだろう。ハンモックが体重を支えてくれるからだ。 マイケルによれば、関節に負担がかからないので、トライアングルポーズなどの特定のポーズがやりやすくなり、体の負担も軽減される。

文:ハンナ・シングルトン

エアリアルヨガの4つのメリット

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公開日:2022年8月23日