バトルロープとは?その効果と活用方法をご紹介
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実は優れもののアイテム。うまく利用して、レジスタンストレーニングをパワーアップさせよう。
バトルロープを使ったエクササイズを高く評価しているパーソナルトレーナーは多い。 自分のスタミナや体力を測ることができるほか、さまざまなメリットがあるためだ。
ここでは、NASM認定パーソナルトレーナーのアレクサ・ジェベンズとユスフ・ジェファーズが、バトルロープエクササイズを組み込んだトレーニングに期待できる効果について解説する。
バトルロープのメリット
バトルロープは、いつものワークアウトにファンクショナルトレーニングを組み込む手段の一つとして利用でき、筋力、心肺持久力、パワーの強化に役立つと、ジェベンズは話す。
ファンクショナルトレーニングは、特にスピード、パワー、筋力、柔軟性、敏捷性、バランス、有酸素持久力、筋持久力といった運動能力の向上に役立つことが、研究で示されている。 体を前後・左右・上下に動かす運動パターン、加速や減速を伴う動き、バランスをとる動きを取り入れることが、こういった運動能力の強化につながる。 バトルロープは用途の広い器具でもあり、正しく使えば、コア、パワー、持久力を強化できると、ジェファーズは言う。
バトルロープはパフォーマンス全般の改善に役立つほか、特定の筋群を鍛える際にも活用できる。 ジェベンズによると、取り組むエクササイズに応じて、バトルロープを使った全身を鍛えるワークアウトもできるそうだ。
たとえば、肩と背中の特定の筋群をターゲットにするには、バトルロープを使ってシングルアームスラムやダブルアームスラムのような運動を行えばよい。 一度に複数の筋群を鍛えたいなら、複数の動きを組み合わせてみよう。 例として挙げられるのは、ダブルアームスラムとリバースランジを同時に行う運動。
ジャンプのようなハイインパクトの動きは入れずに、バトルロープエクササイズに高負荷トレーニングを組み込みたいときに、好みのエクササイズをベースにして負荷を高めるという目的を達成することもできる。 ジェベンズによると、ハイインパクトエクササイズの代わりに、高負荷エクササイズを選べば、関節にほとんど負担がかからない。そのため、プライオメトリクスができない人にもおすすめとのこと。
バトルロープは準備や持ち運びが楽なうえ、さまざまなエクササイズに使えると、ジェファーズは話す。
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バトルロープのヒント:始める前に知っておくべきこと
バトルロープは長さと太さにバリエーションがある。一般的に、長さは約9~15m、太さは4~8cm程度。 バトルロープを購入するときやジムで使うロープを選ぶ際は、この情報を活用しよう。 長さと太さの選択は、その時点でのフィットネスレベルによって異なり、試行錯誤を要するとジェベンズは言う。
バトルロープは、壁や床に取り付けたアンカーに結んだり固定したりする必要がある。 自宅や仮設のジムなどでバトルロープトレーニングをする場合は、「ポールや重いケトルベル、あるいは公式のアンカーを工夫して固定できます」とジェベンズ。
ジェファーズは「太いロープの方が一般的に重く、長いロープの方がなめらかに動きやすい」と語る。ワークアウトでパワーの強化を目指したい場合にジェファーズが勧めるのは、軽めのロープを使うこと。重いロープを使うより、速く動かせるからだ。
何らかのバトルロープエクササイズに取り組むうえで「バトルロープを使う大きなメリットの一つは、高度なスキルが要らないこと」とジェファーズは言う。
始めたばかりの初心者にジェファーズがすすめるのは、シングルアームウェーブ、ダブルアームウェーブ、オルタネイティングウェーブ(方法は以下で説明)を、30秒を1セットとして合計2~3セット行うこと。 体力がついてきたら、1セットを60~90秒に増やしてみよう。体力を発揮し続けられるよう集中することがポイントだという。
通常、エクササイズの難易度を上げたい場合にジェファーズがすすめる方法は、運動の時間を増やすこと、膝立ちや片脚立ちになったり、Bosuボールに乗ったりして不安定な状態に挑戦すること、そしてランジ、バーピー、スピードスケーターといった運動を組み合わせることだ。
ジェベンズが提案するもう一つの初心者向けワークアウトは、20秒のシングルアームスラムとダブルアームスラムを3~4セット行うエクササイズ。各セットの合間には休憩を30秒以上設けよう。
このワークアウトをさらに発展させたいのであれば、 このエクササイズと同時に、スクワットかオルタネイティングリバースランジを行うとよい。 各エクササイズで45秒を1セットとし、15秒の休憩を挟んで3~4セットチャレンジしてみよう。フォームの留意点は、コアを引き締め、膝、腰、背中を軽く曲げた安定感のある姿勢をキープすることだと、ジェベンズは話す。 エクササイズによってはフォームを微調整する必要があるかもしれない。方法がわからなければ、トレーナーに尋ねよう。
どんなワークアウトをするときも、けがを防ぎ、取り組む運動パターンに体を慣らし、トレーニングの効果を最大限に高めるために、まず筋肉を温めることが重要だ。 以下のエクササイズに挑戦するために、上腕三頭筋、肩、背中、胸をターゲットにしたウォームアップの運動に集中して取り組んでほしいと、ジェベンズは言う。 自重で行うフライ、レジスタンスバンドを使うプルアパートフライ、ハイプランクトゥロープランク、Yレイズなどがおすすめだ。
バトルロープエクササイズ5種
各エクササイズを、20~30秒を1セットとし、20~30秒の休憩を挟んで、合計3~4セット行おう。 体力がついてきたら、1セットの時間を30~60秒に増やし、休憩時間を15~20秒に抑えてみよう。
1.シングルアームウェーブ:
- まず、両足を腰幅程度に開いて安定感のある姿勢で立ち、バトルロープの片端を左手でつかむ。握り方は、親指を上にするオーバーハンドグリップ。
- 手首を曲げずにコントロールしながら、力を入れて手を上下に動かしていく。 前腕ではなく肩から動かすようにすること。 肩から動かすことではずみがつき、ロープ全体が波打つようになる。
- 反対の手で繰り返す。
2.ダブルアームウェーブ:
- まず、両足を腰幅程度に開いて立ち、バトルロープの両端をそれぞれ左右の手でつかむ。握り方は、親指を上にするオーバーハンドグリップ。
- 手首を曲げずにコントロールしながら、力を入れて両手を同時に上下に動かしていく。 前腕ではなく肩から動かすようにすること。 肩から動かすことではずみがつき、ロープ全体が波打つようになる。
3.オルタネイティングウェーブ:
- まず、両足を腰幅程度に開いて立ち、バトルロープの両端をそれぞれ左右の手でつかむ。握り方は、親指を上にするオーバーハンドグリップ。
- 手首を曲げずにコントロールしながら、力を入れて左手を上げていく。 左のロープが下がり始めたら、右手で同じ動きを繰り返す。
- 一定のリズムで、左右交互に動きを繰り返す。 すると、はずみがついてロープ全体が波打つようになる。
4.シングルアームスラム:
- まず、両足を腰幅程度に開いて立ち、バトルロープの片端を左手でつかむ。握り方は、親指を上にするオーバーハンドグリップ。
- コントロールしながらロープを高く持ち上げてから、床に叩きつける。
- この動きを繰り返す。足を地面にしっかり固定して位置を変えずに、ロープをできるだけ強く叩きつけるようにすること。
- 右手に持ち替えて繰り返す。
5.ダブルアームスラム:
- まず、両足を腰幅程度に開いて立ち、バトルロープの両端をそれぞれ左右の手でつかむ。握り方は、親指を上にするオーバーハンドグリップ。
- コントロールしながらロープの両端を高く持ち上げてから、左右同時に床に叩きつける。
- この動きを繰り返す。足を地面にしっかり固定して位置を変えずに、左右のロープを同時にできるだけ強く叩きつけるようにすること。
トレーニングのヒント:上記のワークアウトにチャレンジして無理なく負荷を上げられると感じたら(へとへとにならずに、疲れ始めても適切なフォームを保って運動を続けられる状態)、負荷を高めたり、テンポを速めたりしてこれらの運動を行ってみよう。 重いロープを使ってレベルアップしてもいいだろう。 ジェファーズがすすめるように、プランクなどの姿勢でこの運動に挑戦したり、ベースとなる運動にバーピーなどのプライオメトリクス運動を組み合わせたりといった方法でも、エクササイズの難易度を上げられる。
バトルロープを使ったトレーニングになじみがない場合は、認定パーソナルトレーナーに相談することをおすすめする。適切な重さと長さのロープ選びを助けてくれるはず。 さらに、フォームやテクニックの改善方法についてもアドバイスしてもらえるだろう。
文:タマラ・プリジット